毛頭まうとう)” の例文
勿論他人の芸術がわからずとも、トルストイのやうな堂々たる自家じかの芸術を持つてゐれば、毛頭まうとう差支さしつかへはなきやうなり。
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
自分じぶん在學ざいがく當時たうじ舊友きういうふのを、とくけたい理由りいうつてゐたので、かれ旅館りよくわんたづねる毛頭まうとうなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ガラツ八は、まだ女房を貰ふ心持などは毛頭まうとうなかつたのでした。
すでに然るからはこれを果亭と認めて壁間へきかんにぶら下げたのにしろ、毛頭まうとう自分の不名誉になる事ぢやない。いはんや自分は唯、無名の天才に敬意を表する心算つもりで——
鑑定 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私は首を振りました。そんな氣は毛頭まうとうなかつたのです
第二の幽霊 次手ついでにもう少し読ませ給へ。「勿論彼は如何いかなる点でも、毛頭まうとう才能ある批評家ではない。……」
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)