“殯(もがり)” の例文
「これでは、あまり寒々としている。殯(もがり)の庭の棺(ひつぎ)にかけるひしきもの—喪氈—、とやら言うものと、見た目にかわりはあるまい。」
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
御父帝がおかくれになってまだ殯(もがり)の宮(みや)に安置した御遺体のぬくもりがさめないうちに、もう軍旗をなびかせ弓はずをふりたてて挙兵され、帝位争奪の戦をなさるなど
誰(た)れが子を殯(もがり)におくる銅拍子(どびやうし)ぞ秋の日あびて一列白き
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
池上の堤で命召されたあのお方の骸(むくろ)を、罪人に殯(もがり)するは、災の元と、天若日子(あめわかひこ)の昔語りに任せて、其まま此処にお搬(はこ)びなされて、お埋(い)けになったのが、此塚よ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
さるを骨肉(こつにく)の愛をわすれ給ひ、八五あまさへ八六一院崩御(かみがく)れ給ひて、八七殯(もがり)の宮に肌膚(みはだへ)もいまだ寒(ひ)えさせたまはぬに、御旗(みはた)なびかせ弓末(ゆずゑ)ふり立て宝祚(みくらゐ)をあらそひ給ふは
殯(もがり)の庭の棺にかけるひしきもの—喪氈—、とやら言ふものと見た目は替るまい。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
大和では磯城(しき)の訳語田(をさだ)の御館(みたち)に居られたお方。池上の堤で命召されたあの骸を、罪人に殯(もがり)するは、災の元と、天若日子の昔語に任せて、其まゝ此処にお搬び申して、お埋けになつたのが、此塚よ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)