死人花しびとばな)” の例文
わが邦の毒草「しびとばな」も花時葉なく墳墓辺に多くある故死人花しびとばなというて人家にうるを忌む(『和漢三才図会』九二)というが
そして夜蘭軒の詩をけみして、又此花に逢つたのである。石蒜は和名したまがり、死人花しびとばな、幽霊花等の方言があつて、邦人に忌まれてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
この花は、死人花しびとばな地獄花じごくばなとも云って軽蔑されていたが、それは日本人の完成的趣味に合わないためであっただろう。
曼珠沙華 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
と、五六けん手前てまへからしかり付けた。唖者をし子等こらは人の気勢けはひおどろいて、手に手にあか死人花しびとばなを持つたまヽはたけ横切よこぎつて、半町も無い鹿しヽたにの盲唖院へ駆けて帰つた
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
そして石蒜は和名したまがり、死人花しびとばな、幽霊花の方言があって、邦人にまれている。
彼岸花、天蓋花てんがいばな死人花しびとばな、幽霊花、狐花などという、あまり好ましくない和名が民間に行われている故以ゆえんであろう。その中で穏かなのは彼岸花というのだけである。それとても抹香臭まっこうくさい。