武者所むしゃどころ)” の例文
その時、武者所むしゃどころにあった信濃国の住人安藤武者右宗は、この騒ぎ何事ぞ、と太刀を抜いて走ってきた。これを見た文覚は目を輝かすと勇んで飛びかかった。
ために、地方出の武人が番犬的に登用され、朝廷にも、院にも、常備軍がおかれた——それが武者所むしゃどころ
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ、地下人ちげびといやしめられていた武者所むしゃどころ若人わこうどたちで——安芸守平ノ清盛など、その一人でした。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仁和寺にんなじの御幸も、あと十日ほどしかない。院の武者所むしゃどころは、その日のしたくに忙しかった。清盛は、こんど初めて、六位の布衣ほいじょせられて、御車の随身ずいしんを仰せつかった。
そう文覚もんがく(もと院の武者所むしゃどころの出身)若年、人妻に恋し、あやまって恋人の袈裟けさを斬り、青年期の関門につまずいたが、沙門しゃもんに入って、那智の滝でいくたびとなく自虐的な修業をとげ
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
衛府や武者所むしゃどころの制ができて、たくさんな武士をおくことにはなって来たが、いわばこれらの人間は、野性で勇猛な点だけを取りえに思われて、藤原貴族などからは、紀州犬や土佐犬の性能なみに