正眼まさめ)” の例文
和魂にぎみたま荒魂あらみたま兼ねそなわる健全な人の姿を今の正眼まさめよとも言い、あの歌に耳を傾けよとも言って、そこにいる弟子でしの弟子たちを励ますかのようにも見えた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ご隠居さん、絵では見ましたが、正眼まさめに生きて泳ぐところを江戸のまンなかで見られようとは思っていませんでしたよ。年寄は年寄づれ、ひとつ出かけて見ますかな」
湯沸のふき立つる湯気、わがふかす煙草のけむり、また揺れてその壁にあり。妻の影、わが影もあり。水仙と寒菊の花、現身に正眼まさめに見れば、まこと今あはれなりけり。
正眼まさめにて観れば月日も雨風も世に嗔りなき友にはありけり
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
正眼まさめに見れば、道を得て
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「いや、一概にそうとばかりは言うまいぞ。……痩せても、枯れても川崎了斎かわさきりょうさいすえ、鬼畜に祟りなし、ぐらいのことはちゃんと心得ておる。……しかし、なんと言っても、現在、正眼まさめで見たからは……」
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
流れけり鱗だちつつ正眼まさめにもすずしくしろくみなぎらふ雲
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
流れけり鱗だちつつ正眼まさめにもすずしくしろくみなぎらふ雲
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白鷺の月に見えつつ飛ぶ影は正眼まさめながらに霧しまきつつ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
白鷺の月に見えつつ飛ぶ影は正眼まさめながらに霧しまきつつ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わらべより四十路五十路と父母を仰ぎ來しもの正眼まさめかなしく
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
わらべより四十路五十路と父母を仰ぎ来しもの正眼まさめかなしく
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山柿のここだあかかる豆柿も正眼まさめ仰ぎて色によむなし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
事はてむいきどほらくもうつつなり父母よ見よこは正眼まさめなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
早や飽きぬ、火炎の正眼まさめ、肉のゑみ、蜜の接吻くちづけ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)