櫛田くしだ)” の例文
それまでは大して心配もせず、口先で叱ってばかりいた幸子も、この鼠の一件から事の重大さに心づいて、翌日櫛田くしだ医師に来て貰った。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その梅津の本家の方は博多に在住してその頃の所謂いわゆる町役者となり、山笠に名高い博多の氏神、櫛田くしだ神社の神事能を受持っていた。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
息ノ浜の宿営地から街の探題邸までは、入江に沿った松原つづきで、途中に櫛田くしだ神社がある。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後に妙子はこの時のいきさつを櫛田くしだ医師に語ったが、櫛田医師の説では、耳の手術から黴菌が這入って四肢ししを侵すと云うようなことは
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
翁は市内櫛田くしだ神社(素戔男尊すさのおのみこと奇稲田姫くしなだひめを祭る)、光雲てるも神社(藩祖両公を祀る)、その他の神事能を、衷心から吾事として主宰し、囃子方、狂言方、その他の稽古に到るまで一切を指導準備し
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「すぐ彼方の、櫛田くしだ神社のひがし隣にございまする」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こいさん、まだ体が本当でないのんやろうけど、何処どこぞ外にも悪いとこあるのんと違うやろか。帰ったら一遍櫛田くしださんにて貰うことやな」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
旁〻かたがた先にお春を附けて帰すに越したことはないと思ったのであるが、困ったことには、櫛田くしだ医師から紹介状を貰って来た東大の杉浦博士が目下旅行中で
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「熱は大してないねんな。———ま、こじらすと悪いよってに臥てなさい。兎に角櫛田くしださんにもらおう」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
取りえず櫛田くしだ医師の来診を求めたところ、猩紅熱しょうこうねつの疑いがあるから明日あしたなおよくましょうと云って帰った。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
櫛田くしだ先生に診てお貰いになった方がよくはございますまいか、と云ったが、此処ここの家で臥ていることが櫛田さんに知れては面白くないから、めた方がよい
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、ちょうどそのあとで、往診のついでにお宅の前を通りかかったからと云って櫛田くしだ医師が立ち寄り、この間御依頼を受けた人のことが分りました、と云うのであった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もっとも帰りは神有電車で帰ったのであったが、その夜寝床へ這入はいってから、急に出血を見て苦痛を訴え始めたので、櫛田くしだ医師に来診してもらったところ、意外にも流産らしいと云う。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)