検疫けんえき)” の例文
旧字:檢疫
露西亜ロシア国境に於ける検疫けんえき禁足期間は勿論あまり愉快なものではありませんでしたが、それでも露西亜人が彼等の最善を尽していたことは確かだと云えます。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そののちは、べつにかわったこともなく、ウラル丸はついにめでたく敦賀つるがの港にいかりをおろした。ウラル丸の検疫けんえきがすんだ。もうこのうえは上陸してもよいということになった。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
またそういうからだでは検疫けんえきがとやかくやかましいに違いないし、この間のように検疫所でまっ裸にされるような事でも起これば、国際問題だのなんだのって始末におえなくなる。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
瀬戸内の波いと穏やかに馬関ばかんに着きしに、当時大阪に流行病あり、ようや蔓延まんえんちょうありしかば、ここにも検疫けんえきの事行われ、一行の着物はおろか荷物も所持の品々もことごとく消毒所に送られぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
検疫けんえきは五んだ。今度こんど税関ぜいくわん小蒸気こじようきく。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
検疫けんえきのはしけを待たねばならぬからである。
「もうじき検疫けんえき船だ。準備はいいだろうな」
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)