まり)” の例文
泉のく所へ来た。姉は樏子かれいけに添えてある木のまりを出して、清水を汲んだ。「これがお前の門出かどでを祝うお酒だよ」
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
茶を煮て、檜折ひおりのうえに、伏兎餅ふともちまりとをのせて奥へ運んでゆくと
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
順礼の山辺の墓は日ざかりをせせり浮きたりまりの清水に
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
中ぞらにうかべる雲の、 蓋やまたまりのさまなる
文語詩稿 五十篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
弟はまりを飲み干した。「そんなら姉えさん、ご機嫌よう。きっと人に見つからずに、中山まで参ります」
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ようよう樏子かれいけのほかに、面桶めんつうに入れたかたかゆと、木のまりに入れた湯との二人前をも受け取った。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)