梅若うめわか)” の例文
隅田川すみだがわも見えはすまいかと、昔住んだ土地がなつかしくて見廻しました。綾瀬を越して行くと向島むこうじまの土手になって、梅若うめわか白髭しらひげの辺に出るのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
また、もっと後のことであるが、安土あづち総見寺そうけんじで家康に大饗応をした時も、幸若こうわか梅若うめわかに舞をまわせ、梅若が不出来であったというので、信長から楽屋へ
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中略三囲の鳥居前よりうし御前ごぜん長命寺の辺までいと盛りに白鬚しらひげ梅若うめわかの辺まで咲きに咲きたり。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それが三月の十五日で、梅若うめわかさまの日で、私が雛形を作ってから十日も経つか。話ははやく、四月八日釈迦しゃかの誕生日には中心になる四本の柱が立って建て前というまでに仕事が運んでいました。
自分はたんとも食わないのであるが、若い道連れにおごってくれる積りらしく、老人は言問団子ことといだんごに休んで茶を飲んだ。この老人はまったく足が達者で、記者はとうとう梅若うめわかまで連れて行かれた。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大抵は近くの子たちですが、渡しを越して来るのも少しはあったようでした。花の咲いている間に、一、二度位は白髭しらひげ梅若うめわか辺まで行って見ます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
『じゃあ、ここが、梅若うめわかが人買に殺されたという隅田川か。……さびしい所だなあ』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天明てんめい五年三月十五日、梅若うめわかの供養にて双盤念佛さうばんねんぶつの音きこゆ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)