梅花ばいか)” の例文
志「今日は臥竜梅へ梅見に出かけましたが、梅見れば方図ほうずがないというたとえの通り、あきたらず、御庭中ごていちゅう梅花ばいかを拝見いたしたく参りました」
が、それも平たい頭に、梅花ばいかの模様がついているほか、何も変った所はなかった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もし画家たりとせんか梅花ばいかを描きて一度ひとたび名を得んには終生唯梅花をのみ描くも更に飽かるるおそれなし。年老いて筆力つかるれば看るものかへつて俗を脱したりとなし声価いよいよあがるべし。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
白玉か何ぞと問いしいにしえも、かくやと思知おもいしられつつ、あらしのつてに散花ちるはなの、袖にかかるよりも軽やかに、梅花ばいかにおいなつかしく、蹈足ふむあしもたどたどしく、心も空にうかれつつ、半町はんちょうばかり歩みけるが、南無妙。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
梅花ばいかの油黒髪くろかみ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)