桑原くわばら)” の例文
百姓ひゃくしょうは「桑原くわばら桑原くわばら。」ととなえながら、あたまをかかえて一ぽんの大きな木の下にんで、夕立ゆうだちとおりすぎるのをっていました。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おお桑原くわばら。あれは悪魔に見込まれたのじゃ。切支丹じゃ。そしてあたしもそれでつかまってともに殺されるんじゃ。」
「雨は欲しいが、俺たち、道普請みちぶしん荷担にかつぎばかりして歩く組には、雨は敵が出るよりも禁物だ。桑原くわばら桑原、なるべく、あっさり通り雨で欲しいものだ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こりゃアいけねえ! いまみつかったら百年目、いきなりバッサリやられるにきまってる……桑原くわばら桑原!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
福沢が旧幕以来あれほど桑原くわばらがったところの「政治」に、なかんずく禁物視した維新政権——大久保に、伊藤・井上・大隈おおくまに近づくための第一直接の契機はただこれに在った。
福沢諭吉 (新字新仮名) / 服部之総(著)
蚊帳かやと線香と桑原くわばら呪文じゅもんで表象される迷信的な江戸っ子が、大雷鳴、大夕立の真っ最中に、冒涜的な言動、——わけても人殺しなどという、大それたことをやりそうもないことは
親方のげんこつがおれの頭に富士山脈ふじさんみゃくをこしらえるか、ゆみの折れで百たたきの目にわされるか、どっちにしても椿事出来ちんじしゅったい、アア桑原くわばら桑原、桑原桑原。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)