桃花とうか)” の例文
彼と同じ桃花とうかの寝床には、酒のにおいのする大気都姫おおけつひめが、安らかな寝息を立てていた。これは勿論彼にとって、珍しい事でも何でもなかった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
特にこのたびの凱旋がいせんでは、新たな降人、呼延灼こえんしゃくをはじめ、二龍、白虎びゃっこ桃花とうかの三山から——魯智深ろちしん武松ぶしょう、青面獣、施恩しおん、曹正、張青、孫二娘そんじじょう、周通、孔明
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藍は藍がかりし雪の色(即ち明快なる藍)および空の黒さ(即ち濁りし藍)及び桃花とうかを照す月色げっしょく(即ち紅味を帯びたる藍)なり。黄色こうしょく蜂蜜はちみつの色(即ちあかる黄色きいろ)の如し。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
谷川の上流にはたきがあって、そのまた瀑のあたりには年中桃の花が開いていた。十六人の女たちは、朝毎にこの瀑壺たきつぼへ行って、桃花とうかにおいひたした水にはだを洗うのが常であった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
花嫁のへそに毛のある桃花とうかさとを立ち
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)