朧夜ろうや)” の例文
ただ銘刀の刃紋はもんのうような朧夜ろうやの雲が空いちめんにわだかまっていて、その雲の明るみから見ても、どこかに月のあるような空ですが、月のありかは分らない晩です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
刃紋はもん朧夜ろうやの雲に似るみだれ、ほしの青さを吸って散らすかとばかりかがやかしい、鵜首作うくびづくりの鋩子きっさきに特徴のある太刀のすがたは——まず相州系そうしゅうけい新藤しんとう国光くにみつとみてまちがいはない。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、大根の花、菜の花、朧夜ろうや微吟びぎんあるじの好むところである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)