“暴慢（ぼうまん）” の例文
「呪（のろ）われたる猟師」はブルゲルのバラードによった作品で、暴慢（ぼうまん）な伯爵が狩から地獄へ追い落される、標題音楽的な味が面白い。
楽聖物語 (新字新仮名) ／ 野村胡堂、野村あらえびす(著)
教育の精神は単に学問を授けるばかりではない、高尚（こうしょう）な、正直な、武士的な元気を鼓吹（こすい）すると同時に、野卑（やひ）な、軽躁（けいそう）な、暴慢（ぼうまん）な悪風を掃蕩（そうとう）するにあると思います。
坊っちゃん (新字新仮名) ／ 夏目漱石(著)
「加古川で秀吉と会うて来たが、その暴慢（ぼうまん）無礼には、身が震えたわ」
黒田如水 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
この長州出兵論を唱える者の中には、徳川譜代恩顧の者で徳川にとっては無二の精忠者があります。これらの人は本心から薩長あたりの暴慢（ぼうまん）をにくんで、徳川のために死のうという連中でありました。
大菩薩峠：11 駒井能登守の巻 (新字新仮名) ／ 中里介山(著)
武家の暴慢（ぼうまん）と無道に対して、敢然として立った江戸の町奴。放駒（はなれごま）四郎兵衛や幡随院（ばんずいいん）長兵衛の亜流が、その頃漸（ようや）く江戸の町を我物顔に横行して、時々は眼に余る所業もするようになって居たのです。
銭形平次捕物控：174 髷切り (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)