暗褐色あんかっしょく)” の例文
その階段の暗褐色あんかっしょくの下壁と淡黄色の壁色とを気味悪がらず上ってゆき、階段の広段を二度過ぎると、二階の廊下に出るのであった。
それは葉が狭長きょうちょうだからである。山地向陽こうようの草中に野生し、オニユリのごとき丹赤色たんせきしょくの花が咲き、暗褐色あんかっしょく斑点はんてんがある。球根は食用によろしい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
保護色のような薄絹の手袋。暗褐色あんかっしょくに赤に横縞よこじまのあるアンクル・サックス。色眼鏡いろめがね。魚のえらのように赤いガーター。
新種族ノラ (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
くちばし浅緑あさみどり色、羽は暗褐色あんかっしょく淡褐色たんかっしょく斑点はんてん、長い足は美しい浅緑色をしていた。それをあらくつぶして、骨をトントンと音させてたたいた。それにすらかれは疲労つかれを覚えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
荒野に蔽われた田園は、今ちょうど満開のハリエニシダの花が、方々にむらがり咲いていて、ロンドンの暗褐色あんかっしょく黄褐色こうかっしょく、——石板灰色せきばんかいしょくに、あきあきしている目には、とても素晴らしいものに見えた。
そこは黄色い塗り壁と暗褐色あんかっしょくの腰板とで深い静けさを作っていた。階段と廊下とは二つのりっぱな窓から明りがとってあった。廊下は折れ曲がって、先の方は薄暗くなっていた。