晴夜せいや)” の例文
ただ晴夜せいやのこととて、星だけが空にきらきらと明るくかがやいていた。しかし星あかりだけでは、道と道でないところの区別はつかなかった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
手を出そうかなと思う矢先へもって来て、急に黒い斑点はんてんが、晴夜せいや星宿せいしゅくのごとく、縦横に行列するんだから、少し辟易へきえきしてしまって、ぼんやり皿を見下みおろしていた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この恨み、はたさるべき日はつひきたりぬ。こぞの秋、われ思はずも病にかゝりて東海のほとりにさすらひ、こゝに身を清見潟の山水に寄せて、晴夜せいやの鐘に多年のおもひをのべむとす。
清見寺の鐘声 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
昨日のあがだかでは千五百円の大損、それに引きかえて、同所の、火除ひよけ地へ、毎夜出る麦湯むぎゆの店は百五十軒に過ぎ、氷水売は七十軒、その他の水菓子、甘酒、諸商人の出ること、晴夜せいやには
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)