晩節ばんせつ)” の例文
浄瑠璃じょうるりの言葉に琴三味線の指南しなんして「後家ごげみさおも立つ月日」と。八重かくてその身の晩節ばんせつまっとうせんとするの心か。我不われしらず
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
当人の心事しんじ如何いかんは知るによしなしとするも、るにてもしむべきは勝氏の晩節ばんせつなり。
晩節ばんせつ何かあらん、命みじかし、楽しまずして何の人生ぞや——と、こぶしを膝に思いつめもしたが、そんな時、いかる思いとは反対に、この老武人の眼は女のような涙にボロボロ濡れるのであった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも彼はよわいはすでに晩節ばんせつ近き五十三であった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)