星屑ほしくず)” の例文
この間も窓によって空にきらめく星屑ほしくずと満潮した川面のふくらみと岸べの静かな森とを眺めた時、私は調和と愛との深い感動を抑えることができず、ああ愛したい、許したい
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
満天の星屑ほしくずを背にそそり立つ荘厳の姿は、私がこの世の中でみた最も美しい状景であった。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
空にはほこりの様な無数の星屑ほしくずが、船の進行につれて、鈍い回転を続けています。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
生命いのちもなにかは、と歌い寄せる恋歌こいかは、貫之つらゆき道風とうふうをまなんだいとうるわしい万葉仮名まんようがなで書かれるが、その愛が、文字のごとく美しかった例は、星屑ほしくずほども多かった殿上人の恋のうちにも
星屑ほしくず降るような宵だったが、忽ちあしのざわめき、波を捲く颷風ひょうふうだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)