昏乱こんらん)” の例文
観客の頭を昏乱こんらんさせるから、劇場向きではないが、野広のびろいところで遠くの方から見ていると、自然に面白味がわかって来ると書いてあった。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「……思わず病に負けて、日頃のたしなみも昏乱こんらんしたとみえる。これは旧病のおこってきたしるしといえよう。わが今生の寿命も、これでは久しいことはない」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然し滅多にないからと云ふ言辞のもとにヒロイツクを軽蔑するのは論理の昏乱こんらんである。この派の人々は現実を描くと云ふ。さうして現実曝露の悲哀を感ずるといふ。
文芸とヒロイツク (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すぐには返辞もできない菊枝の昏乱こんらんした気持を、老母はそれと察したのであろうか
日本婦道記:不断草 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
金之助のあたまはまだ昏乱こんらんから覚めていなかった。すべてが余りに突然で、殆んど悪夢の中にいるような気持だった。しかし康継の言葉が終ったとき、彼ははっと一つの事に思い当った。
落ち梅記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
伊緒はあたまが昏乱こんらんして考えるちからも失ってしまった。
日本婦道記:春三たび (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼の頭は昏乱こんらんし、心は動顛どうてんしていた。
恋の伝七郎 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
つなの心は昏乱こんらんした。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)