明朝みんちょう)” の例文
正保しょうほう元年、明朝みんちょうほろびて清朝しんちょうとなったころから、明末の志士、儒者なぞのこの国に来て隠れるものもすくなくはなく
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
翻訳は常に叛逆はんぎゃくであって、明朝みんちょうの一作家の言のごとく、よくいったところでただにしきの裏を見るに過ぎぬ。縦横の糸は皆あるが色彩、意匠の精妙は見られない。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
道衍おのれの偉功によってもって仏道の為にすとわんか、仏道明朝みんちょうの為に圧逼あっぱくせらるゝありしにあらざる也。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
明朝みんちょうの中期に升何汝賓しょうかじょひんが漢文で書いた西洋火攻神器説を読んで、早くから臼砲の諸元を知っていた。一尺二寸の口径にたいして、十五尺という砲身は必要以上に長すぎる。
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しかしこの土地はその昔、原住民の酋長しゅうちょうによって支配せられ、シナの明朝みんちょうに封ぜられて王となって、爾来じらい引きつづいて燕京えんけい入貢にゅうこうしていたが、のちにシャムに併合せられた。
マレー俳優の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ルミから貰った名刺の「木崎三郎」の明朝みんちょうの活字が、ぱっと陽子の頭に閃いた。
土曜夫人 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
十七世紀の中葉に国家再興を企ててシナ本国から起こった明朝みんちょうは内紛のために悩まされ、次いで十八世紀、シナはふたたび北狄ほくてき満州人の支配するところとなった。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)