土曜夫人どようふじん
キャバレエ十番館の裏は、西木屋町に面し、高瀬川が流れた。 高瀬川は溝のように細い。が、さすがに川風はあり、ふと忍びよる秋のけはいを、枝垂れた柳の葉先へ吹き送って、街燈の暈のまわりに夜が更けた。 しかし、十番館のホールではまだ夏の宵だった。 …