フラフ)” の例文
フラフそよと風もない炎天の下に死んだ様に低頭うなだれてひだ一つ揺がぬ。赤い縁だけが、手が触つたら焼けさうに思はれる迄燃えてゐる。
氷屋の旗 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
双肌もろはだ脱いだ儘仰向あふむけに寝転んでゐると、明放した二階の窓から向ひの氷屋のフラフと乾き切つた瓦屋根と真白い綿を積み重ねた様な夏の雲とが見えた。
氷屋の旗 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それも暫時しばし。夏ももう半ばを過ぎるのだと思ふと、汗に濡れた肌の気味の悪さ。一体何を自分は為る事があるのだらうと思ひ乍ら、私は復死んだ様な氷屋のフラフを見た。
氷屋の旗 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)