旋律メロディー)” の例文
以上述べたところを約言してみると、連句は音楽と同じく「律動リズム」と「旋律メロディー」と「和声ハーモニー」をその存立要件として成立するものである。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
旋律メロディーもなければ、拍子もなければ、主題の働きもない。一種の流動的な核心、溶解してる物体で、まだ冷めきらずにいて、いかなる形を
シューベルトはドイツの詩に最上の音楽的表現を与えるために、美しい旋律メロディーを書き、重要な伴奏部を付した。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
「……対位法の知識。錯雑せる手法。霊感インスピレーションの欠乏。旋律メロディーの皆無。心の作にあらずして頭の作。誠実の不足。独創的たらんとする意図……。」
ところがフランスの音楽家らの努力は、自分の各楽句について、すでに他人が用いた旋律メロディーの表中にそれがあるかどうかを捜すことであった。
あらゆる旋律メロディーの句調に和合し得て、さらに流動自由な歌のようである声——それをクリストフは味わって以来、新芸術の美を瞥見べっけんしたのであった。
そして消え失せた声を呼びもどそうといくら努力しても、結局は、メンデルスゾーンやブラームスなどの耳慣れた旋律メロディーが聞えてくるにすぎなかった。
作中人物の魂の中で行なわれてる動乱も、旋律メロディーの線のかすかな震えによって、口角のしわほどの管弦楽のおののきによって、伝えられてるのみだった。
旋律メロディーは終わった。沈黙……。彼女は歌いながらクリストフの肩に手をのせていた。二人はもう身動きもなしかねた。そして二人とも震えていた……。
美しい女の微笑も注意の行き届いた装いの中では、パリーの音楽家の旋律メロディーと同じく型にはまったものとなる。男子は女子よりもなおいっそう面白みがない。
薄暗いひだのある懇篤な学者的なドイツの思想、熱情的なイタリーの旋律メロディー、細やかな節奏リズムと柔らかい和声ハーモニーとに富んでるフランスの敏才、などが結合されていた。
彼の歌曲リードのうちの最も凡庸ぼんようなもの——友人らが少しでも彼に祝し得るのを喜んで、彼にそのことばかりを言うので、彼が破棄してしまいたいと思ったある旋律メロディー
そして、通俗的な旋律メロディー律動リズム、異国的な古い音階、あるいは新しいあるいは改新された種々の音程など、世界のあらゆる水を、ヴェルサイユの池に引き入れていた。
ベートーヴェンとモーツァルトは老いぼれた理窟屋ペダンテンだ。彼らの音楽を好んだのは前の時代の愚かしさ故だ。そしてロッシーニ以来はじめて人は旋律メロディーの何たるかを悟ったのだ。
老人はよくそれらの最初の小節を低吟して、「これこそ音楽だ」と断言し、「旋律メロディーのない近代の安音楽」との軽蔑けいべつ的な比較をもち出した。——まさしく彼は音楽を少しも知ってはいなかった。
しかしそれはごく単純な歌で、古い旋律メロディーのものだった。彼女は重く弱い中音の含み声をもっていた。ごく内気だったので、だれの前でも歌えなかった。オリヴィエの前でさえようやくのことだった。
商人の呼び売りの声に基づいてカノンのロンドを吹いた。悲しい旋律メロディーも彼のうちでは喜びの調子となった。同じ町内の洗濯せんたく屋の前を通りかかると、いつものとおり、店の中をじろりと横目で見やった。
三の平凡な旋律メロディー以外には、何にも知っていなかった。
「ブラームスの旋律メロディーを一つ歌ってきかせようか。」