ふち)” の例文
遅く出た月が空にあったが、樹木が繁っているために、木洩れの月光がそこここへ、光のふちを置いているばかりで、あたりはほとんど闇であった。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すべて何国でも土や岩や草花など血のように赤いと血を流した蹟とか血滴ちのしたたりから生えたとか言いはやす、和歌山より遠からぬ星田とかいう地に近く血色のふちある白い巌石連なった所がある
薮を透して日の光が、深い黄味を帯びて射し込んで来ていて、地上の草や周囲まわりの木々へ、明暗のふちを織っていた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)