数百すひゃく)” の例文
旧字:數百
侍女二 長う太く、数百すひゃくの鮫のかさなって、蜈蚣むかでのように見えたのが、ああ、ちりぢりに、ちりぢりに。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
木戸のかた一団ひとかたまりになりて、数百すひゃくの人声推合おしあえり。われはただ茫然としてせむすべを知らざりき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この町のにぎやかな店々のかっと明るいはてを、縦筋たてすじに暗くくぎった一条ひとすじみちを隔てて、数百すひゃく燈火ともしび織目おりめから抜出ぬけだしたような薄茫乎うすぼんやりとして灰色のくま暗夜やみただよう、まばらな人立ひとだちを前に控えて
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
縁側でも呻唸うなり出す——数百すひゃくの虫が一斉いっときに離座敷を引包んだようでしょう、……これで、どさりと音でもすると、天井から血みどろの片腕が落ちるか、ひしゃげた胴腹が、畳の合目あわせめから溢出はみだそう。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)