放逸ほういつ)” の例文
しかし、この歓宴も、みだれるまでにはならなかった。各自、限度を心得ているのだ。まず、最も放逸ほういつに踊ったり謡ったりしていた者から真っ先に
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此の苦痛を助かりたいと、始めて其の時に驚いて助からんと思っても、それはても何の甲斐もない事じゃ、此のを知らずして破戒無慚むざん邪見じゃけん放逸ほういつの者を人中じんちゅうの鬼畜といって、鬼の畜生という事じゃ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
放逸ほういつ曠達こうたつたい無し。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わがままで、華奢かしゃ放逸ほういつ。優れているのは、管絃と画だけだ、とみないうのである。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉宗の耳朶じだが、くわッと、赤くなった。近年は抑えられていた彼の本質にあるもの——紀州時代にはまま放逸ほういつに発散されていた癇癖かんぺきと熱情家らしい血が、久しぶりに満面に出たのである。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)