てっ)” の例文
彼旗をてっし、此望台をこぼち、今自然もうれうる秋暮の物悲しきが上に憂愁不安の気雲の如くおおうて居る斯千歳村に、雲霽れてうら/\と日のひかりす復活の春をもたらすを得ば
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一去、高松攻めの兵をてっし、一鞭いちべん山崎をさして、故信長のとむらい合戦に向ったときは
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初めは湖畔こはんに出て侵略者しんりゃくしゃむかった彼等も名だたる北方草原の騎馬兵きばへいに当りかねて、湖上の栖処すみかに退いた。湖岸との間の橋桁はしげたてっして、家々の窓を銃眼じゅうがんに、投石器や弓矢で応戦した。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)