すく)” の例文
首里しゅりからすぐ近い別荘の前の海で、手ずからすくられたものばかりというのに、名も附けきれないほどの何百という種類で、形よりも色と斑紋はんもんの変化が目ざましく
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その時予のしりえにあって攩網たま何時いつか手にしていた少年は機敏にとその魚をすくった。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いきなり引ッこ抜くが早いか、仙太郎は少しく起倒流きとうりゅうを習って居りますから、飛び込んで侍の足柄をすくってほうり出すと、バタリと仰向けに倒れる上へ乗しかゝりましたので、萩原束は組み敷かれ
八の内にもあるやうな脚炉あんくわから引き出した、四角な黒い火入ひいれから蚊遣かやりけむりが盛んに立つてゐる。小男の客は、をりをりその側にあるブリキのくわんから散蓮華ちりれんげ蚤取粉のみとりこすくひ出して、蚊遣の補充をする。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)