掻取かいど)” の例文
帯なし、掻取かいどり気味につまを合せて、胸で引抱えた手に、濡手拭ぬれてぬぐいを提げていた。二間を仕切った敷居際に来て、また莞爾にっこりすると、……
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが今では見る通りのありさまで、国吉ももはや手はかからず、お小夜は家の事何もかも身に掻取かいどって病母に少しも苦労などさせない。
新万葉物語 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
と例のかずき取除とりのくれば、この人形は左の手にて小褄こづま掻取かいどり、右の手を上へ差伸べて被を支うるものにして、上げたる手にてひるがえる、綾羅りょうらの袖の八口やつくちと、〆めたるにしきの帯との間に
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)