推流おしなが)” の例文
飛んでもないことである。五十歳前、徳川三百年の封建社会をただ一あおりに推流おしながして日本を打って一丸とした世界の大潮流は、まずやすまず澎湃ほうはいとして流れている。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
波間隠なみまがくれ推流おしながさるるは、人ならず、宮なるかとひとみを定むる折しもあれ、水勢其処そこに一段急なり、在りける影はつるを放れし箭飛やとびして、行方ゆくへも知らずと胸潰むねつぶるれば、たちまち遠く浮き出でたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)