推挙すいきょ)” の例文
「自分の功はいても、ぜひぜひ、彼へはしかるべき恩賞を」と、主張したのは尊氏だった。またそのご、決断所寄人よりゅうどの一員へ、かれを推挙すいきょしたのも尊氏である。
「……されば、よいしおに、御出頭あったものといってよい。もし鎌倉においでたら、恩賞にあずかっても、それら枢要すうようの職につくことはなかったろう。ぜひ、ご推挙すいきょ申し上げる」
なぜならば、自分の推挙すいきょで、新たに織田家の家臣となった蜂須賀小六に対しても
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「三名とも、さすがは柳生の子息なり孫なり、いずれもよいつらだましいの若者とは見うけるが、して、石舟斎には、この家康が子息への師範しはんとして、このうちの誰をかわしへ推挙すいきょしたいと申すか」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『実は……実はその……申し難いがあれは他人の品で、その方の推挙すいきょに依って、近いうちに、仕官のほうの話もまとまろうと成っているところ、せがれ新之助も、唯今ちょうどそのお宅へ伺っておる所ゆえ、せめて、せがれの戻る迄——』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)