掎角きかく)” の例文
「では、あなたは山上に陣をお構えなさい。てまえは五千騎をわかち、別に麓に陣取って、掎角きかくの勢いに備えますから」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時とうじ幕府の進歩派小栗上野介おぐりこうずけのすけはいのごときは仏蘭西フランスに結びその力をりて以て幕府統一のまつりごとをなさんとほっし、薩長さっちょうは英国にりてこれにこうたがい掎角きかくいきおいをなせり。
その用意の調わぬうち——また長途のつかれもえぬうちに——それがしが部下の猛卒をひッさげて奇襲を行い、まず敵の出鼻に、大打撃を加え、しかるのち下邳城かひじょうの関羽と掎角きかくの形をとって
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南郡なんぐん掎角きかくの形勢を作って、一方、夷陵いりょうの城も戦備をかためています。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここに取るべき一策としては『掎角きかくはかりごと』しかありません。将軍は精兵を率いて、城外へ出られ、それがしは城に在って、相互に呼吸をあわせ、曹操をして、首端しゅたんの防ぎに苦しませるものであります
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「由来、西涼の州兵は、猛気さかんです。軽々しくは当れません。玄徳もまた徐州の要地をしめ、下邳かひ小沛しょうはいの城と掎角きかくの備えをもち、これも小勢力ながら、簡単に征伐はできないかと思われまする」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)