ばさ)” の例文
旧字:
じゃ皆さん、ご機嫌よう。ついでに私の机もご機嫌よう。——あとは、夜道をすっ飛ばすだけです。(図面を紙ばさみに納める)
「ぬすッとどもは、みんな一トたばに、おれの鼻紙ばさみに収まっている。逃げッこはねえ、安心しなよ、兄さん」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
布巾輪ふきんわ、たばこ差し、紙切り、砂糖ばさみ、時計枠など、いろいろ外国向きの物品を作るのだが、それを一つあなたの意匠を凝らし、絵師の手を借りずに、ジカけに彫って頂こう。
小夜子はこのごろも書いたとみえて、原稿ばさみを持ち出して来て、書き散らしの小説を引っくらかえしていたが、庸三はこの女は書く方ではなくて、書かれる方だと思っていたので
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
カルトン(紙ばさみであり画板がばんであるもの)
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
「……小面憎こづらにくさよ」と、宋江はその姿態しなを見すえながら、白い絹足袋をぬぎ、帯を解き、そしてふところの書類ばさみと紙入れとを、小卓の上におこうとしたとき、ことんと
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
原稿紙ばさみから十枚余りの原稿を出して、ぺらぺらと繰っていたが、疲れきった体に、感傷的な哀憐あいれん刺戟しげきを感じたものらしく、まだ全く眠りからさめきらない庸三の体を揺り動かした。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)