拗者すねもの)” の例文
わたしのやうな拗者すねものをコロリと云はせるやうに出来たら余程お手柄やと散三さん/″\に冷かされて有繋さすがの大哲学者も頭を抱へて閉口したやうだよ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
手を替え品を替えと云う言葉があるが、支倉のような頑強な拗者すねものにかゝっては全くその通りにしなければならぬ。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「して、かの一儀はすべよう整いましたか。門口かどぐちでの立ち話、くわしいことは判りませなんだが、かの兼好という法師、なかなかの拗者すねもののようにも見えましたが……。」
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
地はせ、冬は氷や霜ばしらにしいたげられ、生れながらの若竹のうちから、蕭々しょうしょうと寒風に苦しめられて育った北向きの藪からは、勿論、笛にもならない拗者すねものもできるが
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拗者すねもの
蛇苺 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
この拗者すねものの江戸の通人が耳の垢取あかとり道具をそろえて元禄の昔に立返って耳の垢取り商売を初めようというと
というて、それは拗者すねもののすねた心ではさらさらない。行と工夫との合致のために。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むしろブルジョア階級の御出入を勤めて、名利合せて得る方が利口だ。そう云う利口な事の出来ないのは矢張り気質から来るので、能勢弁護士もどこか変った所がある拗者すねものではないかと思われる。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)