)” の例文
頭はまどうかがは堂にくという素晴らしい大きさである。葉公はこれを見るやおそれわなないてげ走った。その魂魄こんぱくを失い五色主無ごしきしゅなし、という意気地無さであった。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
河を隔てて隠れに白くく筋の、一縷いちるの糸となってけむりに入るは、立ちのぼる朝日影にひづめちりを揚げて、けさアーサーが円卓の騎士と共に北のかたへと飛ばせたる本道である。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
例えば大入道のような怪物が黒い衣服きものすそを長くいて、太い片腕を長く突き出したような形で、しずかに北の空から歩んで来た。重太郎は眼も放さずに怪物のちかづくのを仰ぎた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)