押魂消おったまげ)” の例文
や、素敵なものだと、のほうずな大声で、何か立派なのとそこいらの艶麗あでやかさに押魂消おったまげながら、男気おとこッけのない座敷だから、わっしだって遠慮をしました。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蚊帳を釣っても寝床の上をうようよと這廻はいまわる——さ、その夜あけ方に、あれあれ峠を見され、羽蟻が黒雲のように真直まっすぐに、と押魂消おったまげる内、焼けました。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、あ、と押魂消おったまげて、ばらりと退くと、そこの横手の開戸口ひらきどぐちから、艶麗あでやかなのが、すうと出た。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やあ、それだがね……先刻さっきから気い付けるだか、どうも勝手が違ったぞよ。たしか、そこだっけと勘考します、それ、その隅っこの、こんもりだかとこさ、見さっせいまし、おら押魂消おったまげただ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)