押拡おしひろ)” の例文
旧字:押擴
押拡おしひろげて食品以外の事物にも、何かの種類の意味で味いというものを帯びている以上、それがあるように思われている。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
実は文学の標榜ひょうぼうするところは何と何でその表現し得る題目はいかなる範囲にまたがって、その人を動かす点は幾ヵ条あって、これらが未来の開化に触るるときどこまで押拡おしひろげ得るものであるか
作物の批評 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
じっと、……るに連れて、次第に、ゆるく、柔かに、落着いてを描きつゝ、其のまるい線のがっするところで、又スースーと、一寸二寸づゝ動出うごきだすのが、何となく池を広く大きく押拡おしひろげて、船は遠く
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)