打被うちかつ)” の例文
忽忙そそくさ二重外套にじゆうまわし打被うちかつぎてづる後より、帽子を持ちておくれる妻はひそかに出先を問へるなり。彼は大いなる鼻をしわめて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひとりの女性は、きぬ打被うちかついだまま、燈火ともしびから遠く離れて、泣き伏していた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御仏に仕ふる此寺こゝのものゝ、灯燭とうしよくを続ぎまゐらせんとて来つるにやと打見るに、御堂の外は月の光り白〻として霜の置けるが如くに見ゆるが中を、寒さに堪へでやかしらには何やらん打被うちかつぎたれど
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)