悪謔あくぎゃく)” の例文
旧字:惡謔
われわれはそれを排斥したのであるが、本当に生きてた異常な一典型タイプのうちにパリーは、ギリシャの赤裸とヘブライの潰瘍かいようとガスコーニュの悪謔あくぎゃくとを結合している。
神尾主膳は悪謔あくぎゃくろうしながら盲法師を抱き上げたものらしい。この時に盲法師は悲鳴を揚げました
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これは悪謔あくぎゃくだけれども、嘲笑ではない。実はクラインに対する敬慕親愛の表現である。クラインはよく空虚なる一般論 leere Allgemeinheit ということを言った。
回顧と展望 (新字新仮名) / 高木貞治(著)
赤黒い灯火ひかりを宿させて、間柄助次郎の手にあまったら、ほんとうに、即座に斬り伏せようという気勢——もはや、もてあそあざけって悪謔あくぎゃくをほしいままにしようなぞという、いたずら気は毛頭なかった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
当初おさなくしてまた上品な貞門ていもんの俳諧を突破して、梅翁ばいおう一派の豪胆なる悪謔あくぎゃくが進出した際には、誰しも鳥羽僧正とばそうじょうの画巻をくりひろげるような痛快さをもって、よろこび迎えざる者は無かったのであろうが
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼らは道化者のあらゆる武器を持っていたが、無数の人々の悪謔あくぎゃくを相手にして他を顧みるの余裕がなかった。そして仮装の者らと群集との間に激しく諧謔かいぎゃくがかわされた。
譏刺きし、客気、悪謔あくぎゃく、活気と呼ばるるフランス気質、ユーモアと呼ばるるイギリス気質、善趣味と悪趣味、道理と屁理屈へりくつ、対話のあらゆる狂気火花、それがへやの四方八方に一時に起こり乱れ合って