悪摺わるず)” の例文
彼はまだそれを超越するほど頽廃的たいはいてきになってもいなければ、またそれほど人として悪摺わるずれてもいなかった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
鬢太びんた火傷やけど禿ぱげの一つもあるか、ひたいに向う傷でも持たなければ、鍛冶屋かじや職人らしくないが、百は、その鍛冶職でいて、ひどく、無垢むくな、悪摺わるずれの見えない男だった。
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちよつと見ると、それは大人を小馬鹿にしてゐるのだとしか思へないので——今までもそれを悪摺わるずれのせゐにしてゐたものだが、それの間違ひであつたことが、較々ほゞ感づけて来たわけだつた。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どこの道場にもいる万年門弟という悪摺わるずれのした連中が
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)