悪戯心いたずらごころ)” の例文
と、ひとり合点がてんをして泣き虫の蛾次郎、せばよいのに性懲しょうこりもなく、また悪戯心いたずらごころをおこして、竹童の後からピタピタとついていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大木の上から事のていを一通り見下ろした米友は、その無雑作に立てかけられた十文字の九尺柄の槍を見ると、むらむらと悪戯心いたずらごころが起りました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
丸髷まるまげ姿のふるい型の一人の女性しか知らず、センセイショナルな世間の恋愛事件をも冷やかに看過して来た不幸な一人の老作家を、浮気な悪戯心いたずらごころにせよ打算にせよ
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ねりにねりあげた両腕は夜ごとにむずかゆくなり、わびしい気持ちでぽりぽりひっいた。力のやり場に困って身もだえの果、とうとうやけくそな悪戯心いたずらごころを起し背中いっぱいに刺青いれずみをした。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
年甲斐もない悪戯心いたずらごころがさせた業でございます、仔細はいずれおわかりになりましても、お聞捨てにあそばして下さりませ。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、悪戯心いたずらごころが、忌々いまいましさをそそって来て、なにか、思いついたらしく、そっと石の上から脚を下そうとすると
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)