)” の例文
女の身としておおよそ他の師匠連との振り合いもあるべきに自らすることすこぶる高く一流の検校と同等の額を要求してゆずらなかった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
仕事の魅力とか仕事への情熱とかいうたのしいていのものではない。修史という使命の自覚には違いないとしてもさらに昂然こうぜんとして自らをする自覚ではない。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
さいわいに母五百は明治十七年までながらえていて、保さんは二十八歳でうしなったのだから、二十六年の久しい間、慈母の口から先考せんこう平生へいぜいを聞くことを得たのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分の工場が誰かに悪口をされると、彼等はおかしい程ムキになって弁護した。三井に勤めている社員が、他のどの会社に勤めている社員の前でも一つのキンをもっている。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)