心懸こころがか)” の例文
と、小三郎を始め、死ぬべき人々も、心懸こころがかりに待っていたが、何で起って行ったのか、賀相はいつまでも戻って来なかった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と呼びかけられ、ぱッちりとした目をみはって、ゆたかな頬を傾けたが、くっきりとした眉のあたり、心懸こころがかりのない風情。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私ヤ、まア、勝手なことばかり言つて居たが、長二や、其れよりもお前のよめの決らないのが、誠に心懸こころがかりだよ、どうだエ、だ矢ツ張り心当りが無いか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「さあ、母様おっかさんのことも大抵いい出しはなさらないし、ほかに、別に、こうといって、お心懸こころがかりもおあんなさらないようですがね、ただね、始終心配していらっしゃるのは、新さん、あなたの事ですよ。」
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)