御殿山ごてんやま)” の例文
江戸時代のお花見といえば、上野、向島、飛鳥山あすかやま、これは今も変りがありませんが、御殿山ごてんやまというものはもう無くなってしまいました。
半七捕物帳:31 張子の虎 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
横浜を襲撃するという宣伝(十一月)などの後ついに御殿山ごてんやま英公使館焼打(十二月)となって、英幕関係は急速に悪化した。
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
同じ年の十二月の夜には品川しながわ御殿山ごてんやまの方に幕府で建造中であった外国公使館の一区域も長州人士のために焼かれた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
御殿山ごてんやま。七十日目ごろさかんなり房総ぼうそう遠霞えんか海辺の佳景、最もよし。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その道は一方御殿山ごてんやまへ続き、一方は奥平おくだいらの古いやしきについて迂回うかいして高輪の通りへ続いている。その広い邸内を自由に通り抜けて行くことも出来る。捨吉は後の方の道を取った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
品川御殿山ごてんやま英国公使館の焼打、廃帝故事を調査したといわれたはなわ次郎の暗殺、京都ではもうひとつあくどくなって、「天誅てんちゅう」の犠牲の首や耳や手やを書状に添えて政敵のもとへ贈り届ける。
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
宿役人の杞憂きゆうは、現実となった。春は御殿山ごてんやまのさくら。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一、松平越前守まつだいらえちぜんのかみ様、(越前福井藩主)品川しながわ御殿山ごてんやまかため。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)