御住居おすまい)” の例文
新市街の白仁長官しらにちょうかんの家をたずねた時、結構な御住居おすまいだが、もとは誰のいた所ですかと聞いたら、何でもある大佐の家だそうですと答えられた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
思いは遠く走って、那須野の、一望に青んだ畑や、目路めじのはての、村落をかこむ森の色を思いうかべます。御住居おすまいは、夏の風が青く吹き通していることと思います。
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
世にかくれます神ならば、念仏の外他言はいたさぬ。平に一夜、御住居おすまいむしろ一枚を貸したまわれ……
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はい、もう泣きは致しません。御房ごぼうは、——御房の御住居おすまいは、この界隈かいわいでございますか?」
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その跡を御追いなすった事、今ではあなたの御家族の中でも、たった一人姫君ひめぎみだけが、奈良なら伯母御前おばごぜ御住居おすまいに、人目を忍んでいらっしゃる事、——そう云う御話をしている内に
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
貴女あなた、静岡は御住居おすまいでございますか、それともちょっと御旅行でございますか。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吾輩はこの偉大なる鼻に敬意を表するため、以来はこの女を称して鼻子はなこ鼻子と呼ぶつもりである。鼻子は先ず初対面の挨拶を終って「どうも結構な御住居おすまいですこと」と座敷中をめ廻わす。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わざわざ呼留よびとめて、災難をのがれたとまで事を誇大こだいにして、礼なんぞおっしゃって、元来、私は余計なお世話だと思って、御婦人ばかりの御住居おすまいだと聞いたにつけても、いよいよきまりが悪くって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「閑静な御住居おすまいですね」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「結構な御住居おすまいでございますな。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)