後様うしろさま)” の例文
婆は鴫沢しぎさわの前にその趣を述べて、投棄てられし名刺を返さんとすれば、手を後様うしろさまつかねたるままに受取らで、ひておもてやはらぐるも苦しげに見えぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
留りては裂き、行きては裂き、裂きて裂きて寸々すんずんしけるを、又引捩ひきねぢりては歩み、歩みては引捩りしが、はや行くもくるしく、後様うしろさま唯有とあ冬青もちの樹に寄添へり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
佐分利はかしらおさへて後様うしろさまもたれつつ笑ひぬ。次いで一同も笑ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)