当世とうせい)” の例文
旧字:當世
当世とうせい流行の探偵方面に早変りをしたというわけでもございませんから、どうぞお含み置きを願いたいと存じます。
火薬庫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なんでも、当世とうせいのことよりか、むかしのことがきで、ふるほんいてあることをしんずるというふうでした。そして、いつも、ふちふとおおきな眼鏡めがねをかけていました。
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
(現に須永は母の御供をしてこういう旧弊きゅうへい真似まねを当り前のごとくやっている。)それから鉄無地てつむじの羽織でも着ながら、歌舞伎を当世とうせいくずして往来へ流したにおいのする町内を恍惚こうこつと歩きたかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぜひのない当世とうせい女気質おんなかたぎで、まだまだしおらしい方なのかも知れません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)