はぢ)” の例文
新字:
顫へてゐる私の眼の前には白い蛾のこなのついた大きなてのひらと十本の指の間からぢつと睨んでゐる黒い眼、………蠶の卵のはぢく音、繭を食ひ切る音、はづんだ生殖のふる
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
げなば定めて村人の驚き羨まんにと思ふ氣色けしきなりまたやがて我に近づき先ほど見上げましたが珍しい蝙蝠傘かうもりがさはぢきがなしでよく左樣に開閉ひろげすぼめが出來ますさぞ高い品でござりませうと是も亦片手に握りて見たき顏の色に我はヱヘンとして斯樣かやうな物は東京に住む者が流行はやりに逐はれて馬鹿の看板に致すなり地方の人は鰐皮の革提かばんの代りに布袋を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
おもてよく見て、うしろをつけて、合はぬ眼玉はちよとはぢ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
思ふ人には見棄てられ、商人あきうどの手にやはぢかれて
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)