延胤のぶたね)” の例文
鉄胤かねたねはじめその子息むすこさんの延胤のぶたねとも交わりを結ぶ端緒いとぐちを得たというだけにも満足して、十一屋の二階でいろいろと荷物を片づけにかかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
師の周囲には平田延胤のぶたね師岡正胤もろおかまさたね権田直助ごんだなおすけ、丸山作楽さらく、矢野玄道げんどう、それから半蔵にはことに親しみの深い暮田正香くれたまさからの人たちが集まって、直接に間接に復古のために働いた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その考えに半蔵はやや心を安んじて、翌日はとりあえず、京都以来の平田鉄胤かねたね老先生をその隠棲いんせいたずねた。彼が延胤のぶたね若先生のくやみを言い入れると、師もひどく力を落としていた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼が江戸に出て、初めて平田鉄胤かねたねを知り、その子息むすこさんの延胤のぶたねをも知ったころだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これは全く自然の暇乞いとまごいで、その年、明治六年には師ももはや七十二歳の老齢を迎えられたからである。この心ぼそさに加えて、前年の正月には彼は平田延胤のぶたね若先生の死をも見送った。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
平田鉄胤かねたね老先生、その子息むすこさんの延胤のぶたね、いずれも無事で彼をよろこび迎えてくれたばかりでなく、宿へもどって気の置けないものばかりになると、先師篤胤あつたね没後以来の話に花の咲いた時。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)