年弱としよわ)” の例文
小幡はお春をすかしていろいろに問いただしたが、年弱としよわの三つでは碌々ろくろくに口もまわらないので、ちっとも要領を得なかった。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
十九と言つても、同じ年のお菊よりは、反つて年弱としよわに見えるほどのひ弱い男で、端麗な顏立ちも心配やら恐怖やらにゆがんで、まことに痛々しい少年でした。
年弱としよわの者はわたしと一緒に豆を剥いた。まもなく豆は煮えた。みんなは船をやりっ放しにして真中に集まって、つまんで食った。食ってしまうとまた船を出した。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「ええ、もう、年弱としよわ三歳みッつになりますが、ええ、もう、はや——ああ、何、お茶一つ上げんかい。」
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのときお前は年弱としよわの三つで、何も知らなかろうなどゝ云う話で、私も実にほんとうの親にあったような心持がして、今晩は是非ぜひ泊れといって、中村の家に一泊しました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
門を出ると月下の平橋へいきょうには白い苫船とまぶねもやっていた。みんなは船に跳び込んだ。雙喜は前の棹を引抜き、阿發あはつは後ろの棹を抜いた。年弱としよわの子供は皆わたしに附いて中の間に坐った。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
お兼は素足になっていたが、そこには同じ年頃らしい女の子の古下駄が片足ころげていた。更におどろかれるのは、年弱としよわの二つぐらいと思われる女の児が、お兼の死骸のそばに泣いていた。
異妖編 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
重兵衛 年弱としよわの七つですから、まだ本当の子供ですよ。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)